今回は、Web制作でよく混乱しがちな「ワイヤーフレーム」と「デザインカンプ」の違いについて、詳しく解説していきます。
この2つ、似ているようで実は全然違うんです。
プロジェクトを成功させるためにも、しっかり理解しておきましょう!
ワイヤーフレームとデザインカンプの違いとは
まずは、この2つの定義から見ていきましょう。
ワイヤーフレームは、Webサイトの設計図として機能するものです。
線と枠だけのシンプルな図で表現され、情報やコンテンツの配置を決めていく工程です。
この段階では、色や画像などの装飾的な要素は含まず、純粋にページの構造やユーザビリティの検討に焦点を当てます。
一方、デザインカンプは、Webサイトの完成イメージを表現するものです。
実際のデザインに近い形で作成され、色やフォント、画像などの視覚的要素をすべて含んでいます。
ブランドイメージを反映させ、最終的なデザインの確認に使用される重要な資料となります。
このワイヤーフレームとデザインカンプの2つには、いくつかの重要な違いがあります。
まず、作成時期が異なります。
ワイヤーフレームはプロジェクトの初期段階で作成され、デザインカンプはワイヤーフレームの承認を得た後の制作段階で作成されます。
目的も大きく異なります。
ワイヤーフレームは情報設計とユーザビリティの検討が主な目的であるのに対し、デザインカンプは視覚的な表現とブランディングが目的となります。
表現方法にも明確な違いがあります。
ワイヤーフレームはモノクロの線と枠を用いたシンプルな表現であるのに対し、デザインカンプはカラーで実際の見た目に近い表現を行います。
また、検討する要素も異なります。
ワイヤーフレームでは構造やレイアウト、ユーザーの動線といった要素に注目します。これに対してデザインカンプでは、色使いやフォント、画像、装飾といった視覚的な要素を重点的に検討します。
作成者も通常は異なり、ワイヤーフレームは主にディレクターやUXデザイナーが担当し、デザインカンプは主にWebデザイナーが担当します。このように役割分担を明確にすることで、それぞれの専門性を活かした制作が可能になります。
なぜワイヤーフレームとデザインカンプに分かれているの?
家を建てるときのことを想像してみてください。
最初に間取り図を描いて、その後で内装や外観のデザインを決めますよね?
Webサイトも全く同じ考え方なんです!
ワイヤーフレームは「間取り図」、デザインカンプは「内装・外観デザイン」みたいなものだと考えると分かりやすいですよ。
これらを分けて考えることで、プロジェクトの各段階で集中すべきポイントが明確になります。
実は、多くの失敗プロジェクトは、この2つの工程の区別があいまいだったことが原因だったりします。
なぜなら、構造とデザインを同時に考えようとすると、どちらも中途半端になってしまうんですよね。
ワイヤーフレームの詳細
ワイヤーフレームの本質
ワイヤーフレームは、サイトの「骨組み」を作る工程です。
見た目の装飾は一切考えず、純粋に「使いやすさ」と「情報設計」に焦点を当てます。
この段階で決めることは?
- コンテンツの配置
- ヘッダーやフッターの構成
- メインビジュアルの位置
- ナビゲーションメニューの配置
- サイドバーの有無と位置
- コンテンツエリアのレイアウト
- ページ構成
- 必要なページの洗い出し
- 各ページの役割と目的
- コンテンツの優先順位
- 情報の階層構造
- ナビゲーションの流れ
- メニュー構成
- リンクの配置
- パンくずリストの設計
- 回遊動線の設計
- 機能要素の配置
- 検索バーの位置
- お問い合わせフォームの構成
- SNSボタンの配置
- CTAボタンの位置
ワイヤーフレーム作成のポイント
- シンプルな線と四角形で表現する
- 文字の大小関係は示すが、フォントは指定しない
- 画像は枠線で表現し、中に「PHOTO」や「IMAGE」と記載
- ボタンやリンクの位置関係を明確に
- スマートフォン対応の場合は、レスポンシブデザインも考慮
デザインカンプの世界
デザインカンプとは?
デザインカンプは、サイトの「見た目」を具体的に表現する工程です。
ワイヤーフレームで決めた構造に、色や形、画像などの装飾要素を加えていきます。
この段階で決めること
- カラースキーム
- メインカラー
- アクセントカラー
- 背景色
- テキストカラー
- ホバー時の色変化
- タイポグラフィ
- フォントの種類(Webフォントの選定)
- 文字サイズの階層
- 行間と文字間
- 見出しのスタイル
- 本文のスタイル
- ビジュアル要素
- 写真やイラストの選定
- アイコンのデザイン
- 装飾パーツの作成
- 背景パターン
- グラデーション
- インタラクション
- ホバーエフェクト
- アニメーション
- スクロールエフェクト
- トランジション
- モーダルウィンドウのデザイン
デザインカンプ作成のコツ
- ブランドイメージを意識した統一感
- 余白の使い方にこだわる
- コントラストを意識した可読性の確保
- スマートフォン表示時のデザインも同時に検討
- 実装を考慮したデザイン設計
ワイヤーフレームとデザインカンプの違いでよくあるトラブルと解決方法
よくあるトラブル①「ワイヤーフレームの段階で色とか画像の話が出てくる」
これ、本当によくありますよね。特にクライアントさんから「ここの画像はこんな感じにしたい」という話が出てきがち。でも、この段階では「まずは配置を決めましょう」と優しく誘導するのがコツです。画像やカラーについては「デザインの段階で詳しく検討しましょう」と前向きに保留することで、スムーズに進められます。
よくあるトラブル②「デザインの段階になって構造を変えたくなる」
デザインを進める中で「やっぱりここのレイアウトを変えたい」と思うことは珍しくありません。でも、この段階での大きな構造変更は、スケジュールとコストに大きく影響します。
対策としては:
- ワイヤーフレームの段階で複数のパターンを検討
- クライアントとの認識合わせを丁寧に行う
- 変更が必要な場合は影響範囲を明確に説明
よくあるトラブル③「関係者の認識にズレがある」
プロジェクトに関わる人が多いほど、認識のズレは起きやすくなります。特に以下のような場合に注意が必要です:
- クライアント側の担当者が複数いる
- 制作会社側でも複数の部署が関わっている
- 外部パートナーが参加している
解決のポイント:
- キックオフミーティングでプロセスを説明
- 各工程での成果物を具体的に示す
- 承認フローを明確にする
- 議事録をしっかり共有
ワイヤーフレームとデザインカンプの違いを理解して、
プロジェクトを成功に導かせるために
1. ワイヤーフレームの段階でしっかり時間をかける
- 情報設計に十分な時間を確保
- ユーザー動線の検証
- コンテンツの優先順位付け
- 構造上の問題点の洗い出し
2. クライアントとの認識合わせを丁寧に行う
- 各工程での目的を明確に説明
- 決定事項の文書化
- 変更可能な範囲の明確化
- スケジュールの共有
3. 各工程での承認はきちんと得る
- 承認者の明確化
- 承認基準の設定
- 承認までの期間の設定
- 修正回数の設定
4. 変更が出たらすぐに対応する
- 変更内容の明確化
- 影響範囲の確認
- スケジュールへの影響確認
- 必要に応じて工数の見直し
ワイヤーフレームとデザインカンプの制作ツールについて
ワイヤーフレーム作成ツール
- Adobe XD
- 直感的な操作性
- デザインカンプへの移行がスムーズ
- 共有機能が充実
- Figma
- リアルタイムコラボレーション
- 豊富なプラグイン
- ブラウザベースで使いやすい
- Sketch
- Mac専用だが高機能
- 豊富なプラグイン
- デザイナーに人気
デザインカンプ作成ツール
- Adobe Photoshop
- 画像編集に強い
- 様々なエフェクトが使える
- 長年の実績がある
- Adobe XD
- プロトタイプ作成も可能
- アニメーション機能
- 共有が簡単
- Figma
- チームでの共同作業が得意
- コンポーネント管理が優れている
- バージョン管理が簡単
ワイヤーフレームとデザインカンプの違いまとめ
ワイヤーフレームとデザインカンプ、どちらも Web サイト制作には欠かせない重要な工程です。
それぞれの役割と目的を理解し、適切なタイミングで適切な作業を行うことで、クオリティの高い Web サイトを作ることができます。
- 工程ごとの目的を明確にすること
- クライアントとの認識合わせを丁寧に行うこと
- 各段階での承認をしっかり得ること
- 変更が発生した場合の対応手順を決めておくこと
これらのポイントを押さえておけば、プロジェクトをスムーズに進めることができますよ。
みなさんのプロジェクトでも、ぜひこれらの違いを意識して進めてみてください!
きっと、より良い制作フローが実現できますよ。