llustratorのアートボードとドキュメント設定|新規設定で失敗しない初期設定の決め方

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Illustratorを開いて最初の画面で、もう迷っていませんか?

  • サイズはどれを選べばいいの?
  • カラーモードのCMYKとRGB、どっち?
  • 「裁ち落とし」って何を入れるの?

実はここ、デザインそのものより先に決める「制作の土台」です。
最初の設定を間違えると、後から直すときに色が変わったり、印刷で端が切れたりする原因になります。

この記事では、デザイナーを目指す初心者向けに、アートボードの基本と、新規ドキュメント設定の決め方を、印刷とWebの設定例つきで解説します。

目次

アートボードとは「机の上に置いた紙」

アートボードは、デザインを作り、書き出しや印刷の範囲を決める領域です。
Adobe公式でも「アートワークのベースとなる1枚の白い紙のようなもの」と説明されています。

身の回りのもので考えると、関係はこうなります。

  • ドキュメント:ファイル全体(引き出し1つ分)
  • カンバス:アートボードの周りに広がる作業スペース(机の上)
  • アートボード:机の上に置いた紙。その紙の中が、基本的に書き出し・印刷される範囲

アートボードの外に置いたオブジェクトは消えません。
予備のパーツや別案をカンバス上に置いておけるのは、この仕組みのおかげです。
逆に言えば、「紙の外にあるものは完成品には入らない」という意識も大事です。

アートボードは複数作れる

1つのドキュメントには複数のアートボードを作れます(上限は1,000個)。

活用例:

  • ロゴの別案を並べる
  • 名刺の表と裏を並べる
  • SNS画像のサイズ違いをまとめて作る
  • 複数ページの資料を作る

それぞれのアートボードを個別の画像として書き出したり、複数ページのPDFにまとめたりもできます。

新規ドキュメント設定:項目ごとに決め方を解説

ファイル → 新規 で出てくる設定画面(バージョンにより表示は少し異なります)を、項目ごとに見ていきます。

1. プリセット(印刷/Web/モバイルなど)

作るものに近いカテゴリを選ぶと、サイズ・単位・カラーモードなどの初期値がまとめて切り替わります。ゼロから考えるのではなく、まずプリセットを土台にするのが失敗しないコツです。

2. 幅・高さと単位

  • 印刷物:単位はmm、サイズは仕上がりサイズ(例:A4なら210×297mm)
  • Web・SNS:単位はpx、サイズは掲載先が指定するピクセル数(例:Instagram投稿なら1080×1080px)

最初に単位が合っていないと、後で数字を直す手間が増えます。作る媒体で単位を決めましょう。

3. 向き

縦向き(ポートレート)か横向き(ランドスケープ)か。幅と高さの数値が入れ替わるだけなので、後からでも変更できます。

4. アートボードの数と並び方

最初は1つで十分です。後からいつでも追加できます。「並び方」は複数アートボードを作ったときの自動配置の仕方です。

5. 裁ち落とし(印刷物のみ)

印刷物を紙の端まで印刷する場合に、仕上がりサイズの外側に確保する余白のことです。一般的には天地左右3mmを設定します。

画面上ではアートボードの外側に赤い線で表示されます。背景色や写真など、端まで届かせたい要素は、この裁ち落としの線まで伸ばしておくのがルールです。これを「塗り足し」と呼びます。Web用のデータでは裁ち落としは0で構いません。

裁ち落としとセットで覚えたいのが、文字などの切れてはいけない要素は、仕上がり線から内側に3mm程度離して配置するという安全マージンの考え方です。

6. カラーモード(CMYK/RGB)

  • 印刷物 → CMYK
  • Web・画面で見るもの → RGB

ここは後から変更もできますが、変更すると色の見え方が変わります。特にRGBで作った鮮やかな色は、CMYKに変換するとくすんで見えることがあります。「後で変えられるから」と油断せず、最初に用途で決めるのが原則です。詳しくは別記事「CMYKとRGBの違い」で解説しています。

7. ラスタライズ効果設定

ドロップシャドウやぼかしなど、ラスター的な効果をどの細かさで表現するかの設定です。

  • 印刷物 → 高解像度(300ppi)
  • 画面表示用 → スクリーン(72ppi)

これが低いままだと、シャドウなどが粗く見えることがあります。効果 → ドキュメントのラスタライズ効果設定 から、途中でも変更できます。

【設定】印刷とWebで比べてみる

A4チラシ(印刷物)

項目設定
サイズ210×297mm(A4)
単位mm
裁ち落とし天地左右 3mm
カラーモードCMYK
ラスタライズ効果高解像度(300ppi)
アートボード数1(表裏があるなら2)

印刷会社に入稿する場合は、その会社のテンプレートや指定が最優先です。特にアートボード数については「1つで入稿」と指定する印刷会社もあるため、複数アートボードのファイルを作る前に、入稿ルールを確認しておくと安全です。

Webバナー・SNS画像

項目設定
サイズ掲載先の指定px(例:1200×628px、1080×1080px)
単位px
裁ち落とし0
カラーモードRGB
ラスタライズ効果スクリーン(72ppi)
アートボード数サイズ違いを作る分だけ複数でも便利

Webでは解像度(ppi)の数値より、アートボードのピクセル数そのものが効きます。高精細な画面向けに、表示サイズの2倍の大きさで作る方法もよく使われます。

アートボードの基本操作

アートボードを追加する

  • アートボードツール(Shift+O)で、カンバス上をドラッグ
  • またはアートボードパネル(ウィンドウ → アートボード)の新規ボタン

アートボードのサイズを変更する

アートボードツールで対象のアートボードを選び、プロパティパネルやアートボードオプションで幅・高さを数値入力するのが正確です。ドラッグでも変えられますが、印刷物など寸法が大事なものは数値入力を習慣にしましょう。

サイズ変更で一緒に覚えたいのが:

  • オブジェクトと一緒に拡大・縮小:アートボードと中身を比例して一緒に変えたいときのオプション
  • オブジェクト → アートボード → 選択オブジェクトに合わせる:ロゴなどを、オブジェクトぴったりのサイズのアートボードに収めたいときに便利

アートボードを複製・並び替え・名前を付ける

  • アートボードツールでAlt(Option)を押しながらドラッグすると複製できます
  • アートボードパネルで順番の並び替えや名前の変更ができます

名前付けは地味に重要です。書き出しのときにファイル名にアートボード名が使われるため、「表面」「裏面」「1200×628」など、後で見て分かる名前を付けておくと、書き出し後の整理が一気に楽になります。

アートボードを削除する

アートボードツールで選んで「Delete」、またはアートボードパネルから削除できます。
アートボードを消しても、中のオブジェクトまで一緒に消えるかどうかは操作により確認ダイアログが出ます。慌てて消さず、内容を読んでから進めましょう。

後から変更できる?ドキュメント設定の変更

作り始めた後の変更は、主にこの3か所です。

  • ファイル → ドキュメント設定
    裁ち落とし、単位などの変更。「アートボードを編集」からサイズ変更にも入れる
  • ファイル → ドキュメントのカラーモード
    CMYK/RGBの切り替え(色の見え方が変わる点に注意)
  • 効果 → ドキュメントのラスタライズ効果設定
    効果の細かさの変更

つまり「作り直し」までは不要な項目がほとんどです。
ただし、カラーモード変更での色の変化と、サイズ変更にオブジェクトが追随しない場合のレイアウト崩れ、この2つは実際に起こりやすいので、変更後は全体を確認する癖をつけましょう。

デザイン初心者がやりがちな失敗4つ

1. 印刷物をRGBで作り始めて、色がくすむ

変換自体はできても、鮮やかな色ほど落ち着いた色に変わります。印刷物は最初からCMYKです。

2. 裁ち落としを入れ忘れて、端に白が出る

印刷後に紙の白いフチが見えてしまう典型的なミスです。新規作成の時点で3mmを入れるのを手順化しましょう。

3. Web用なのにmmで作ってしまう

単位とサイズの体系が違うため、書き出しで意図しない大きさになります。Webはpxが基本です。

4. アートボードを増やしすぎて、どれが本番か分からなくなる

別案の管理に便利な反面、名前なし・順番バラバラだと書き出しミスの元です。名前付けと、不要なアートボードの削除までがセットです。

よくある質問

Q. アートボードの外に置いたものは書き出されますか?

通常の書き出しでは、アートボードの範囲が対象です。ただし書き出し設定で範囲の指定が変わる場合もあるため、「完成品に入れたいものはアートボード内」が基本ルールです。外に置いた予備パーツが意図せず入ることも、入れたいものが入らないことも、防げます。

Q. Photoshopの「カンバスサイズ」とは違うのですか?

考え方が違います。Photoshopのカンバスは基本的に1枚の絵の大きさそのもの。Illustratorのアートボードは、大きな作業スペースの中に複数置ける「紙」です。1ファイルでサイズ違いや複数ページを扱えるのがIllustratorの特徴です。

Q. 最初のプリセット選択を間違えたら作り直しですか?

サイズ、裁ち落とし、カラーモードは後から変更できます。ただしカラーモードは色の見え方、サイズはレイアウトに影響するため、早い段階で気づくほど手直しは軽く済みます。

llustratorのアートボードとドキュメント設定まとめ

  • アートボードは「書き出し・印刷の範囲を決める紙」。ドキュメントの中に複数作れる
  • 新規設定の決め手は、媒体(印刷かWebか)でほぼ自動的に決まる:単位、カラーモード、裁ち落としの有無
  • 印刷はmm・CMYK・裁ち落とし3mm・ラスタライズ効果は高解像度、Webはpx・RGB・裁ち落とし0が基本形
  • 後から変更できる項目は多いが、カラーモード変更の色の変化だけは先に避ける
  • アートボードの名前付けと整理が、書き出しミスを防ぐ

最初の設定は「センス」ではなく「手順」です。媒体ごとにレシピを決めておけば、毎回迷わず、ミスも減ります。

次に学ぶなら、「塗り足しとトンボ(トリムマーク)」や「書き出し形式の使い分け」と合わせて読むと、入稿・納品まで一通りの流れが見えてきますよ。

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この記事を書いた人

安藤ほなみのアバター 安藤ほなみ グラフィック・Webデザイナー

デザイン業界経験20年。Mac使用歴も20年。グラフィックデザイン・Webデザイン両方経験したからこそ、どんなデザインでも使える基礎から、グラフィック・Webの違いや気をつけること、Macの使い方から知っておくと良いことをお伝えします。

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