「デザインを学んだけれど、ポートフォリオには何を載せればいいの?」
「スクールの課題しかないけれど、仕事につながる作品集を作れるのかな?」
ソフトの基本操作を覚えても、自分の作品をどうまとめればよいかで手が止まることがありますよね。
ポートフォリオは、作品を通して「何を考え、どこまで制作できる人なのか」を伝えるためのものです。実務経験がなくても、スクール課題や自主制作を整理し、制作の背景や工夫を説明することで、今の自分にできることを紹介できます。
この記事では、Web・グラフィックデザイナーとして仕事につなげたい方へ、作品選びから提出・公開までの作り方を6ステップで紹介します。
実務未経験でもポートフォリオは作れる
ポートフォリオには、依頼を受けて制作した実案件に加えて、スクール課題や、自分でテーマを設定した自主制作も掲載できます。
ただし、制作の区分と、自分が担当した範囲は明記しましょう。
たとえば、スクール課題で原稿や写真が用意されていたなら、その条件を書き添えます。
グループ制作であれば、デザイン、コーディング、文章など、どこを担当したかを説明してください。
見本どおりに作った練習と、自分で目的や構成を考えた制作も区別します。自分が判断した部分を正確に伝えることが、作品を見てもらううえで大切です。
STEP1. 誰に見せて、どんな仕事につなげたいかを決める
就職・転職なら、応募先の仕事内容を確認する
最初に、どんな仕事をしたいかを考えましょう。
Webサイトのデザインを担当したいのか、バナー制作やサイト更新をしたいのか、名刺・チラシなどの販促物を作りたいのか。目指す仕事によって、優先して見せたい作品が変わります。
就職・転職を目指す場合は、気になる求人をいくつか確認してください。仕事内容や求められるスキルを見て、自分の作品で何を伝えたいかを整理します。
個人で仕事を受けるなら、相談してもらいたい内容を絞る
副業やフリーランスとして活動する場合は、誰の、どんな制作を手伝いたいかを考えます。
たとえば、「講座を運営する人の告知バナー」「地域のお店のチラシ」「個人事業主の名刺」などです。これまで働いてきた業界や、よく知っているサービスから考える方法もあります。
方向が決まると、掲載する作品や自己紹介で強調したい内容も選びやすくなります。
② 掲載する作品を選び、足りないものを補う
今ある作品を、制作の区分ごとに書き出す
まずは、これまで作ったものを一覧にしてみましょう。
- スクールや講座の課題
- 自分でテーマを決めた自主制作
- 知人などから依頼された制作
- 自分の活動のために作った名刺やサイト
書き出したものをすべて掲載する必要はありません。
目指す仕事に合う作品、自分の工夫を説明できる作品を選びます。
作品の候補が見つからない場合は、こちらの記事も参考にしてください。

自主制作は、実際に使う場面を設定する
足りない作品を作る場合は、見た目を考える前に、使う場面を決めましょう。
ここでは、オンライン講座の無料体験会への参加を募るバナーを例にします。次のような架空の制作条件を設定できます。
| 項目 | 設定例 |
|---|---|
| 告知する内容 | 初心者向けオンライン写真講座の無料体験会 |
| 対象者 | カメラを購入したものの、使い方が分からない人 |
| 掲載場所 | 講座運営者のWebサイト内 |
| 読んだ後の行動 | 体験会の詳細・申し込みページを開く |
| 掲載情報 | 講座名、体験内容、日時、参加無料、案内ボタン |
条件があると、「誰に関係する講座か」「参加すると何が分かるか」「次にどこを押すか」を考えながら制作できます。
作品数の目安や選び方は、こちらで詳しく紹介しています。

③ 作品ごとの説明文を用意する
目的・担当範囲・工夫を整理する
完成画像だけでは、制作条件や、自分が考えたことが伝わりにくい場合があります。
作品ごとに、次の情報を整理しましょう。
- 制作の区分:実案件・スクール課題・自主制作
- 目的とターゲット
- 掲載場所や使用場面
- 自分の担当範囲
- 使用ツールと制作期間
- デザインで工夫した点
すべてを長文で説明する必要はありません。
作品を理解するために必要な情報を、見出しや箇条書きでまとめます。
バナー作品の説明文の例
先ほどの無料体験会バナーなら、次のように説明できます。
作品名:オンライン写真講座・無料体験会の告知バナー
制作区分: 自主制作。架空の講座を想定して制作しました。
目的・対象者: カメラの操作に悩む初心者に無料体験会を知ってもらい、詳細・申し込みページへ誘導することを目的としています。
担当範囲: 架空の制作条件の設定、掲載文章の作成、デザイン。
工夫した点: 「カメラ初心者向け」と「体験できる内容」を先に読める位置に配置しました。続いて開催日時と参加無料の情報をまとめ、案内ボタンへ視線が進む構成にしています。
使用ツールと制作期間には、実際に使ったもの・かかった時間を記載してください。
素材写真を使用した場合も、自分で撮影したものか、素材を利用したものかが分かるようにします。
自主制作で実際に配信していないなら、申し込み件数などの成果を書く必要はありません。
設定した目的に対して、なぜその表現を選んだかを説明しましょう。
④ 自己紹介と全体の構成をまとめる
基本の構成を先に決める
作品と説明文がそろったら、全体の順番を考えます。
最初から細かな装飾を作り込むより、どこに何を置くかを決めると進めやすくなります。
基本となる内容は、次のとおりです。
| 内容 | 伝えること |
|---|---|
| 表紙・トップページ | 名前、職種、どんな作品集か |
| 自己紹介 | 経歴、対応できる制作、仕事で大切にすること |
| 目次・作品一覧 | どんな作品があり、どこで見られるか |
| 作品紹介 | 完成画像、制作条件、担当範囲、工夫 |
| 連絡先 | 相談・連絡する方法 |
見せたい作品を前半に置き、その作品に関連するスキルや経験が分かるように整理しましょう。
紙・PDFのページ配分は、こちらの記事に構成例を載せています。

自己紹介は、作品につながる情報を選ぶ
自己紹介では、経歴をすべて詳しく書く必要はありません。
今できる制作、これまでの経験から生かせること、仕事への向き合い方をまとめます。「丁寧です」「コミュニケーションが得意です」と書く場合は、そう考える理由となる行動や経験を添えてみてください。

⑤ PDF・Webなど、見せ方を選んで制作する
提出条件と、見せたい内容に合わせて選ぶ
ポートフォリオには、PDF、Webサイト、紙などの形式があります。
応募先から指定がある場合は、その条件を優先しましょう。
PDFは、見せる順番を決めて作品と説明をまとめやすい形式です。
Webサイトは、作品一覧から詳細へ移動したり、公開中の制作物へリンクしたりできます。
紙で見せる場合は、実際に印刷して、文字や作品の大きさを確認しましょう。
自作サイトで制作スキルを示したいのか、作品を分かりやすく紹介したいのかによっても、選ぶ方法は変わります。
作品が読める大きさと、説明の見つけやすさを大切にする
制作するときは、作品を小さく並べすぎないように注意してください。
長いLPなら、全体像に加えて主要部分を拡大する。Webサイトなら、PC版とスマートフォン版を分けて紹介するなど、細部まで確認できる見せ方を考えます。
作品名・画像・説明文の位置をそろえると、ページを移動しても情報を探しやすくなります。
色や装飾を増やす前に、文字の読みやすさと余白を整えましょう。
Illustratorで作ったデータをPDFにする方法は、こちらで紹介しています。

⑥ 見直して、提出・公開する
第三者に「何ができる人か」を確認してもらう
一通りまとまったら、可能であれば講師や現役デザイナーなどに見てもらいましょう。
「どうですか?」だけでなく、
「どんな制作を任せられる人に見えますか?」
「説明が足りない作品はありますか?」と聞くと、直す場所を見つけやすくなります。
専門知識がない人にも、文字の読みやすさや連絡先の見つけやすさを確認してもらえます。
提出前のチェックリスト
最後に、次の点を確認してください。
- 応募先の形式・容量・作品数の指定に合っている
- 名前や連絡先、文章に誤りがない
- 文字や画像が読みやすい
- 課題・自主制作・実案件の区別が分かる
- 自分の担当範囲を正確に記載している
- 作品や素材を掲載してよいか確認している
- URLや作品内のリンクが開ける
- 閲覧する相手に適した共有権限になっている
URLで提出する場合は、こちらの手順も参考にしてください。

完成後も、新しい作品や応募先に合わせて内容を見直していきましょう。
未経験者のポートフォリオでよくある疑問
- スクールの課題だけでも載せてよい?
-
掲載条件を確認したうえで、課題として制作したことを明記して紹介できます。
ただし、見本どおりに作ったものだけでは、自分が考えて制作できる範囲を伝えにくい場合があります。応募先や受けたい仕事に必要な力が見せられているか確認し、必要に応じて自主制作を補いましょう。
- ポートフォリオ用のサイト、コーディングができないと作れない?
-
PDFやポートフォリオ作成サービスを使えば、コーディングをせずに作品をまとめる方法もあります。
ただし、応募先が実装スキルを求めている場合は、その力を確認できる制作物が必要です。作品集を作る方法と、目指す仕事で必要なスキルを分けて考えましょう。
- AIを使った作品は、どう説明すればよい?
-
まず、応募先の方針と、利用したツール・素材の利用条件を確認してください。
掲載する場合は、構成の検討、文章のたたき台、画像生成、コードの補助など、AIをどこに使ったかと、自分が担当した部分を説明します。
AIの出力から何を選び、どこを修正し、どう仕上げたかを振り返ることも大切です。自分が担当していない作業を、自分だけで制作したように紹介しないようにしましょう。
まとめ まず1作品分の紹介を完成させよう
未経験からポートフォリオを作るときは、見せる相手と目指す仕事を決め、作品・説明文・全体の構成を順番に整理していきましょう。
まずは1作品を選び、「誰に何を伝えるために作ったか」「自分が担当したこと」「工夫した理由」を短く書いてみてください。1作品分の紹介ができると、ほかの作品も同じ流れで整理しやすくなります。
作品の見せ方以外にも、次に何を身につければよいか迷っている方へ、仕事につながるデザイナーになるための「8つの力」無料診断をご用意しています。
今の自分を整理し、次の一歩を考えるきっかけに活用してください。

