作品はできたのに、横に添える説明文で手が止まってしまう……。
「何を書けばいいの?」
「おしゃれな雰囲気にしました、じゃダメな気がする……」
そんなふうに、説明文の前で手が止まっていませんか?
私はグラフィック・Webデザイナー歴25年の中で、ポートフォリオの添削やサポートもしてきました。
添削をしていて感じるのは、説明文でつまずく方が本当に多い、ということです。
でも大丈夫です。書けないのは文章力のせいではなく、「何を、どの順番で書くか」を知らないだけなんです。
この記事では、作品説明に書く項目、そのまま使える型、良い例と悪い例の違いをまとめます。
ポートフォリオ全体の作り方から知りたい方は、親記事「未経験デザイナーのポートフォリオの作り方」もあわせて読んでみてください。
ほなみ本記事は、その中の「作品ごとの説明文」に絞った内容です。一緒に1作品分、完成させていきましょう!
ポートフォリオの作品説明は、未経験者ほど大事です
実務経験がある人は、実績そのものが説明の代わりになります。
でも未経験者の作品は、スクール課題や自主制作が中心です。
完成画像だけでは、見る側には「課題の条件で作ったのか、自分で考えたのか」「どこまで担当したのか」が分かりません。
ポートフォリオの作品説明は、その不足を補うものです。
上手い文章である必要はありません。
「誰のために、何を考えて、なぜそう作ったか」が書ければ、作品はただの練習作ではなく、考えて作れる人だという証拠になります。
添削をしていて感じるのは、見る側は意外なほど、この説明文をよく読んでいるということです。だからこそ、ここだけは少し時間をかけて書いてみてくださいね。
これはAIの時代になって、ますます大事な部分です。形を作る作業はAIでもかなりできるようになりました。でも、目的を決め、案の中から選び、その理由を言葉にして責任を持つのは人の仕事です。説明文は、その「考えて選んだ力」を見せる場所なのです。
【添削でよく見る失敗】説明文が「感想文」になっている
添削でよく見るのは、「おしゃれな雰囲気を目指しました」という感想だけで終わってしまう説明です。
気持ちはよく分かります。頑張って作ったんですものね。
でも見る側が知りたいのは、「誰のために、なぜそう判断したか」です。
感想を「判断の記録」に置き換えていきましょう。
ポートフォリオの作品説明に書く6つの項目
結論から言うと、ポートフォリオの作品説明に書く項目は6つだけです。
まずは項目をそろえましょう。
1作品につき、次の6つです。多いように感じるかもしれませんが、1項目2〜3行でいいんですよ。
1. 制作区分
実案件、スクール課題、自主制作のどれかを明記します。架空の設定で作った場合は、そのことも書きます。
2. 目的・ターゲット
「誰に、何を伝えて、どうなってほしいか」まで書きます。「カフェの宣伝」ではなく「近隣で働く人に、平日ランチの存在を知ってもらい、来店につなげる」のように、対象と行動を具体的にします。
3. 担当範囲
デザイン、構成、文章作成、写真撮影、コーディングなど、自分が担当した範囲だけを書きます。グループ制作や、原稿・写真が用意されていた課題では、その条件も添えます。
4. 使用ツール・制作期間
Illustrator、Photoshop、Figmaなどと、おおよその期間です。ここは事実をメモするくらいで大丈夫です。すごさを見せる場所というより、見る側に制作の前提を知ってもらうための項目、と思ってくださいね。
5. 工夫した点と、その理由
説明文の中心です。私が一番見てほしいのもここです。「何をしたか」だけでなく「なぜそうしたか」も、できるだけセットで書いてみてください。理由が添えられていると、感想ではなく「考えて作ったこと」が伝わりやすくなります。
6. 使用場面・制作条件
掲載場所、サイズ、配布方法などです。チラシなら配布場所、バナーなら掲載面とサイズで、判断の前提が伝わります。
ポートフォリオの作品説明にそのまま使える「型」
ポートフォリオ作品説明の書く順番を固定すると、悩む時間がぐっと減ります。
私も、説明文に悩む方にはまずこの型をお渡ししています。次の型に、当てはめるだけでいいんです。
作品名: 〇〇(制作物の種類)
制作区分: 自主制作(架空の店舗を想定)/スクール課題 など
目的・対象者: 〇〇な人に、〇〇を知ってもらい、〇〇してもらうため
担当範囲: 設定の作成、文章、デザイン
工夫した点: 〇〇を工夫しました。理由は、〇〇だからです。もう一つの案(〇〇)は、〇〇という理由で選びませんでした
使用ツール・期間: Illustrator/約〇日
特に効くのは「選ばなかった案と、その理由」です。
採用した案だけを書くより、比較して選んだことが伝わり、判断力の証明になります。
ポートフォリオの作品説明が上手く書けないときの3ステップ
項目は分かっても「工夫の理由」が思いつかない、という場合は、作ったときの記憶を掘り起こすところから始めると、書きやすくなりますよ。次の順番で進めてみてください。
ステップ1:事実をメモする
まず感想ではなく事実だけを書きます。サイズ、色数、使った写真、情報の並び順など、目に見えることを箇条書きにします。
ステップ2:自分に質問する
メモを見ながら「なぜこの色にしたのか」「なぜこの情報を一番大きくしたのか」「作っている途中で何を直したのか」と自問します。直した場所には、きっと理由があるはずです。それが工夫した点になります。
ステップ3:1項目2〜3行に整える
理由が出てきたら、長文にせず絞ります。説明文が主役になる必要はありません。読む人が「なるほど」と思える短さに整えること自体も、情報を整理する力の見せ方です。



最初から完璧に書こうとしなくて大丈夫です。まずはメモ書きでいいので、理由を掘り起こすところから始めてみてくださいね。
ポートフォリオの作品説明で、良い例・悪い例(チラシの場合)
架空のカフェのランチ告知チラシを例に、違いを見てみます。
※以下は説明文の書き方を示すための例文です。
目的も対象も分からず、感想とツールの名前だけで終わっています。
違いは文章力ではありません。「誰に」「何を判断したか」が書かれているかどうかです。ね、型に沿えば書ける気がしてきませんか?
ポートフォリオのジャンル別の書き方のコツ
同じ型でも、強調する点は制作物によって変わります。
チラシ・ポスター:
配られる場所と、目に入る一瞬で何を伝えるかを書きましょう。情報の優先順位をどう決めたかが工夫の中心になります。
名刺・ロゴ:
コンセプトの言語化が中心です。形や色を選んだ意味、異なるサイズやモノクロでも使えるかといった展開まで触れると、実務を意識していることが伝わります。
バナー・SNS画像:
掲載される面、サイズ、見た人に次に取ってほしい行動(詳細を見る、申し込むなど)を書いておくと伝わります。小さい表示でどう読ませたかがポイントです。
Webサイト・LP:
情報の並び順や導線の考え方、スマートフォンでの見せ方、自分がデザインと実装のどこまでを担当したかを書きます。全体画像だけでなく、主要部分の拡大や画面遷移があると伝わりやすくなります。
AIを使った作品は、どうポートフォリオで説明する?
AIを使った場合は、工程を分けて書いておくと安心です。
応募先の方針と、使ったツールや素材の利用条件は、先に確認しておきましょう。
書き方としては「構成案の整理と文章のたたき台にAIを使い、案の選択、レイアウトの調整、最終仕上げは自分で行いました」のように、AIに任せた工程と、自分が判断した工程を分けて記載します。
AIは敵でも魔法でもなく、工程ごとに使い分ける道具です。
だからこそ「どこを任せて、どこを自分で決めたか」を説明できることが、そのまま実務での使い方の証明になります。
ポートフォリオの作品説明の書き方でよくあるNG
ここはポートフォリオの添削でよく見るものが中心です。
当てはまっても落ち込まなくて大丈夫ですよ。
- 感想だけ
「楽しかった」「おしゃれにした」だけだと、判断の理由が伝わりにくくて、ちょっともったいないんです。 - ツール名だけ
使えるソフトの紹介はスキル一覧にお任せして、説明文では「その作品で何を考えたか」を書いてみましょう。 - 成果の数字
架空の制作物には、「集客が〇倍になった」などの成果の数字は書かないでおきましょうね。ないものを書くと、後で自分が困ってしまいます。自主制作は、設定を正直に書く方がかえって信頼されます。 - 担当範囲を広げて書く
人が作った部分や、用意されていた素材まで、自分が作ったように書いてしまいがちですが、ここは事実のままが安心です。面接で聞かれたときに気持ちよく答えられる書き方の方が、結果的に強いんですよ。 - 長すぎる説明
作品より文章が主役になってしまうと、かえってもったいないことがあります。項目ごとに少し絞ってみましょう。
ポートフォリオ提出前のチェックリスト
- 制作区分(実案件・課題・自主制作)が書いてある
- 目的とターゲットが「誰に・何を・どうなってほしいか」まで具体的
- 工夫した点に「なぜ」が付いている
- 選ばなかった案や、直した点に触れている
- 担当範囲が事実どおりで、課題の条件も明記している
- AIや素材を使った場合、その工程と出どころが分かる
- 架空の成果や、確認していない数字を書いていない
- 1作品の説明が、読んで疲れない長さに収まっている
ポートフォリオの作品説明でよくある質問
Q. 作品説明は、どのくらいの長さがよいですか?
A. 決まった正解はありませんが、6項目を各2〜3行程度に収めるのが目安です。作品画像とあわせて1ページ(Webなら1画面)で読める量を意識すると、見る側の負担になりません。
Q. スクール課題で条件が決まっていたら、工夫は書けませんか?
A. 書けます。与えられた条件の中で、自分が選んだ色、配置、情報の順番には、きっとご自身の判断があるはずです。「条件の中で何を選んだか」を書くことと、課題だったという条件自体を添えておくことで、見る側に伝わりやすくなります。
Q. 成果の数字がないと、弱い説明になりますか?
A. なりません。未経験者の説明で見る側が知りたいのは、数字よりも考え方と担当範囲の正確さです。数字のない自主制作は、設定と判断の理由を丁寧に書くことで十分に伝わります。なお、載せる作品自体がまだ少ない方は「ポートフォリオに載せる作品がない人にやってほしい3つの方法」も参考にしてください。
ポートフォリオの作品説明の書き方まとめ
作品説明で書くのは、感想ではなく判断の記録です。
制作区分、目的・ターゲット、担当範囲、ツール・期間、そして「工夫した点とその理由」。
この型に沿って、まずは自信のある1作品分だけを完成させてみてください。1作品書けると、残りは同じ型で進められます。
最初は短くてもいいので諦めずに、まずは1作品。
あなたの作品には、考えて選んだ理由がきっとあります。
それを言葉にするところから、一緒に始めていきましょう。私も応援しています!
作品説明と並んで、ポートフォリオの入口になる自己紹介も整えておきましょう。書き方は「ポートフォリオの自己紹介の書き方と例文」で紹介しています。
作品説明は書き終わったけれど、「自分のポートフォリオで何が足りないのか分からない」という方へ。仕事につながるデザイナーになるための「8つの力」無料診断で、今の自分の強みと、次に伸ばすべき力を整理してみませんか。作品の見せ方だけでなく、これから何を身につけるかまで見えてきます。








