作品はそろえたのに、書類でなかなか先に進めない……。
「作品の数は足りているはずなのに」
「自分のポートフォリオの、どこを直せばいいのか分からない」
そんなふうに、手が止まってしまっていませんか?
私はグラフィック・Webデザイナー歴25年の中で、ポートフォリオの添削やサポートもしてきました。
添削をしていて感じるのは、書類で伝わりにくい理由は、デザインの実力そのものよりも、「見せ方・整え方」の小さな引っかかりであることが多い、ということです。
先に結論をお伝えしますね。ポートフォリオで落ちる理由として多いのは、次の7つのNGです。
でも、どれも「全部作り直し」が必要なものではありません。
並べ替える、1つ外す、一文足す。そういう小さな手直しで直るものがほとんどです。
この記事では、作品選び、並べ方、構成、見せ方、提出まわりなど、ポートフォリオ全体のNGを扱います。作品ごとの説明文の書き方そのものは、別記事「ポートフォリオの作品説明の書き方」で詳しくまとめているので、ここでは全体に絞ってお伝えします。
ポートフォリオ全体の作り方から知りたい方は、親記事「未経験デザイナーのポートフォリオの作り方」もあわせてどうぞ。
ポートフォリオが落ちる理由は、実力不足ではないことが多い
ポートフォリオを見る側は、たくさんの応募の中から、その人のことを判断します。
このとき、作品1点ごとの上手さだけでなく、「自分で選んでいるか」「細部まで確認できているか」「今の実力がどれくらいか」が、全体の印象から伝わってきます。
裏を返すと、見せ方で損をしているだけなのに、「実力が足りないのかな」と自分を責めてしまう方が多いんです。もったいないですよね。
まずは実力の話と、見せ方の話を分けて考えてみましょう。
ポートフォリオNGポイント、その1
ポートフォリオに作品を全部載せて、選んでいない
作ったものを全部載せたくなる気持ち、よく分かります。
どれも頑張って作ったものばかりですものね。
でも、全部載せは、見る側にとっては「この人は自分で選べないのかな」という印象につながりやすいんです。作品数が多いほど1点あたりにかけられる時間は短くなり、自信のない作品が全体の印象を引き下げてしまうこともあります。
NGポイントの直し方
まずは「今の自分が、胸を張って見せたい順」に作品を並べて、上位のものだけを残してみてください。スクール課題は課題ごとの代表作に、自主制作は出来のいいものに。外した作品は消さなくて大丈夫です。
手元に残しておけば、応募先によって入れ替える予備になります。
選ぶことは、捨てることではありません。今の自分の一番いいところを見せるための、立派なデザインの判断です。
作品数の目安は「ポートフォリオに載せる作品数は?ページ枚数はどのくらい必要?」の記事も参考にしてみてくださいね。

ポートフォリオNGポイント、その2
ポートフォリオの作品の並べ方・順番、一番見せたい作品が後ろにない?
添削をしていてよく見るのが、作った順番のまま、古い作品から並んでいるポートフォリオです。
成長の記録としては正しい順番なのですが、見る側の印象は「最初の1作品」でかなり決まってしまいます。一番最初に出てくるのが、いちばん練習初期の作品では、ちょっともったいないんです。
NGポイントの直し方
これは並べ替えだけで直ります。今いちばん自信のある作品を、先頭に持ってきてみてください。作業としては数分で終わります。
2番目には、ジャンルの違う作品や、応募先に近い作品を置くと、「この人はこういう仕事がしたいんだな」が早い段階で伝わります。
時系列は、最後に残したければ「成長の過程」として後半にまとめる形でも大丈夫ですよ。
ポートフォリオNGポイント、その3
応募先ごとにポートフォリオの構成を変える必要はある?
1つのポートフォリオを、どの応募先にもそのまま出していませんか? 例えば、チラシや印刷物を多く扱う会社に応募するのに、Webサイトの作品ばかりが先頭に並んでいると、見る側は「うちの仕事と合うかな?」と考え込んでしまいます。実力の問題ではなく、相手に合わせた見せ方になっているかどうか、の話なんです。
NGポイントの直し方
応募先ごとにコピーを作って、先頭に置く作品と自己紹介の一文を入れ替えてみましょう。
例えば印刷寄りの会社ならチラシ作品を先頭に、Web寄りの会社ならサイト作品を先頭に。
全部を作り直す必要はなくて、並び順と入口の数ページを変えるだけでも、伝わり方は変わります。
応募先の制作物や求める人物像を先に読んでから並べ替えるのが、私のおすすめの順番です。
ポートフォリオNGポイント、その4
ポートフォリオに模写やチュートリアル作品を入れていい?
模写やチュートリアルで作った作品は、学習の証拠として大切なものです。問題は作品そのものではなく、「自分で考えて作った実績」のように見えてしまう見せ方です。有名なチュートリアルは見る側も知っていることがありますし、そのときに「実績なのかな?」と首をかしげられると、他の作品まで疑われて見えてしまうことがあって、もったいないんです。
NGポイントの直し方
作品のそばに、制作区分を一文添えてみてください。
「制作区分:模写(レイアウトの基礎を学ぶため)」のように、何を学ぶための練習だったのかまで書くと、ごまかしではなく「意図を持って練習している人」として伝わります。
できたら、その後に条件を変えた応用作品を1点添えると、学んだことを自分の判断で使えることも伝わりますよ。
制作区分や担当範囲の書き方そのものは「ポートフォリオの作品説明の書き方」の記事で詳しく扱っています。
外すより、正直に書く方が強い
模写の作品を「見せたらまずいかな」と全部外してしまい、載せる作品がほとんどなくなってしまう方がいます。でも、未経験のうちは学習の過程を見せること自体が自然です。区分を正直に書いて、何を学んだかを添える。その書き方の方が、見る側の信頼は得やすいと私は感じています。
ポートフォリオNGポイント、その5
ポートフォリオの自己紹介、「デザインが好きです」で終わっていない?
「小さい頃からデザインが好きで……」という自己紹介は、気持ちは伝わるのですが、応募する方の多くが同じように書いています。
見る側がその先で知りたいのは、「何を作るのが得意か」「どんな仕事をしていきたいか」「この会社で何をやってみたいか」です。
NGポイントの直し方
好き、という気持ちはそのまま残して大丈夫です。その後に3つだけ足してみてください。①これまで作ってきたもの・得意なジャンル、②目指している方向、③応募先でやってみたいこと。どれも一文で十分です。
書き方の例文は「ポートフォリオの自己紹介の書き方と例文」の記事で紹介しているので、型を借りてみてくださいね。

ポートフォリオNGポイント、その6
ポートフォリオ提出前の基本チェック、誤字脱字・リンク切れ・重いPDF
作品の中身以前のところで引っかかってしまうケースです。
自己紹介文の誤字、開けない作品リンク、重くてなかなか開かないPDF。
見る側には「確認が少し甘いのかな」という印象が残りやすくて、作品を見る前に疲れさせてしまいます。デザインは細部を整える仕事なので、提出物そのものが、その姿勢の見本になるんですよね。
NGポイントの直し方
提出前に、チェックの時間を別に取ってみてください。自分のパソコン以外の画面でも一度開く、リンクは全部クリックしてみる、PDFの容量とページの順番を確認する、ファイル名に名前と日付を入れる。地味ですが、この一手間で防げる損は多いです。
データの作り方は「ポートフォリオをPDFにまとめる方法」や「提出用ポートフォリオのURLの作り方」の記事も参考になりますよ。


ポートフォリオNGポイント、その7
ポートフォリオはいつ更新する?作ったままになっていない?
完成したときのまま、数か月、場合によっては年単位で置かれているポートフォリオもよく見ます。
先頭に残っているのが古い作品だと、見る側はそれを「今の実力」として受け取ります。
その間に上達していたとしても、伝わらないんですよね。
NGポイントの直し方
月に一度でいいので、見直しの時間を取ってみてください。最近作った作品を先頭の方に入れる、古い作品は後ろに回すか外す、作品説明に今の言葉で一文を足す。大きな改修でなくて大丈夫です。
ポートフォリオは「作って終わりの提出物」ではなく、「育てていくもの」くらいに思ってもらえると、更新のハードルが下がりますよ。
提出前のチェックリスト
- □ 見せたい順に並べ替えていて、自信のない作品は外してある
- □ 一番自信のある作品が先頭に来ている
- □ 応募先に合わせて、先頭の作品と自己紹介を入れ替えてある
- □ 模写・チュートリアル作品には、制作区分が分かる一文が添えてある
- □ 自己紹介に「好き」の先(得意なこと・目指す方向・やってみたいこと)が書いてある
- □ 誤字脱字をチェックし、リンクが全部開けることを確認した
- □ PDFの容量・ページ順、ファイル名を確認した
- □ 最近の作品が入っていて、古い作品が先頭に残っていない
よくある質問
Q. 作品を絞ると、数が少なくて弱く見えませんか?
A. 自信のない作品まで全部入れるより、絞った方が「選べる人」という印象になります。
数そのものの目安は「ポートフォリオに載せる作品数は?ページ枚数はどのくらい必要?」の記事でまとめていますが、大切なのは数より中身の順番です。
外した作品は予備として残しておけるので、応募先に合わせて出し分ける材料にもなりますよ。
Q. 模写の作品しかない時期は、応募を待った方がいいですか?
A. 待たなくて大丈夫です。模写であることを正直に書いて、何を学んだかを添えれば、学習の過程として伝わります。そこに、条件を変えた自主制作を1点でも加えると、「学んだことを使って、自分で考えたもの」が見せられます。まずは今あるもので、見せ方を整えるところから始めてみてくださいね。
Q. 古い作品は、全部消した方がいいですか?
A. 全部消す必要はありません。先頭に置きっぱなしにしないことが大事です。
成長を見せたい作品なら後半に回す、今の実力とかけ離れているものは外す、という分け方で十分です。作った作品は、そのときの自分の記録でもありますからね。
ポートフォリオNGポイントのまとめ
ポートフォリオが落ちる理由は、実力の話であることの方が少なくて、選び方、並べ方、あと一文、提出前の確認といった「見せ方・整え方」の話がほとんどでした。
作品を全部載せない、一番見せたい作品を先頭に、応募先に合わせて入れ替える、模写は区分を正直に、自己紹介には「好き」の先を、提出前の基本チェック、そして作ったままにしない。この7つです。
全部を一度にやらなくて大丈夫です。今日はまず、先頭の作品を入れ替えるだけでもOKです。
小さな手直しの積み重ねが、書類での伝わり方を変えていきます。
あなたの作品は、もうそろっているので、あとは見せ方を整えるだけ!進めていきましょう
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